報告 高橋光春




行ってきましたメルガマタ。

思い起こせば6月、渓美隊々長の信ちゃんと雪シロと大雨でガンガンの流れになっていた袖沢を渡渉し、地図と睨めっこしながらやっとメルガマタに辿り着いた。
テン場設営後、釣りをしようと思いきや雷と大雨が降り出し断念。「明日があるさ!」と早々にテン場で酒を飲み、いつもの如く酔っ払った挙句に沢に落ちて膝を痛めてしまい、2泊3日の予定が1泊で帰ることに・・・
信ちゃんには迷惑と心配をかけてしまい、大変申し訳なかった。

あれから2ヶ月、「メルガマタはまた来年にでも・・・」と思っていた矢先、岡本から電話があり、「みっちゃん、テンカラ竿新調したから何処か行かない?」との誘い。まだ膝は本調子でないものの、痛みはだいぶ無くなっているので、「じゃあ、メルガマタにでも行ってみる?」との返事。
出発は明後日、急いで荷物の用意をしなくては!!

8月3日、夜勤が終わり、約束のAM2時に岡本が会社に迎えに来た。
京葉道、首都高、関越道と乗り継ぎAM7時に八崎の駐車場に到着。1台の車も無くほっとすると同時に期待に胸が膨らむ。

すぐに遡行準備に取り掛かる。今回はいつもよりザックが軽い。膝の不調がある為、荷物を極力抑え、食料は米、ラーメン、乾物のつまみ少々、調味料、酒に至っては焼酎500cc、ビールは1ℓだけとする。
あとは岩魚が釣れるだろうから、イワナ料理を考えているが、それが後で後悔する事になろうとは知る由もない。
今回は秘密兵器を持ってきている。林道歩きを短縮しようと「折りたたみ自転車」を持ち込んだのだ。


     
袖沢林道を行くチャリンコオヤジ2人組

                        

長い下りの坂は快適に飛ばしたが、砂利道に入ると前回は歩きだったのであまり気にならなかったが、穏やかな上り坂が袖沢渡渉点まで続いていて、思った以上に時間は稼げなかった。

約1時間で渡渉点に辿り着いた。2ヶ月前と違い穏やかに流れる袖沢を軽々と渡渉し、いよいよ山越えの開始。前回は気付かなかった踏み跡が鮮明にあり、けっこう人が入っているのが伺える。それはそうと岡本のペースがあまりにも遅い。

「みっちゃ~ん、ちょっと休憩!」少し登ると「みっちゃ~ん、腹減った!」「みっちゃん、みっちゃん!」・・・
え~い、うるさい!おいおい、何ぼなんでも休憩多すぎだぞ!釣りする時間が無くなっちゃうよと苛立ってきたが、まぁしょうがないか。岡本は病気のため2年ぶりの源流なのだから。
気は焦るがゆっくり行くことにしよう。

  
2年ぶりの源流でペースの上がらない岡本                              今回は余裕だぜぃ
  

約3時間かかって袖沢峠に着き、下り15分でテン場に辿り着いた。結局5時間もかかってしまった。すぐにでも釣りに出かけたかったが雲行きが怪しいため、タープだけを張りいよいよメルガマタリベンジ!!

    
ようやく袖沢峠に着いた                          前回とは違い穏やかな流れのメルガマタ


5mの滝を降りメルガマタの流れに足を入れる。胸の鼓動が高鳴り、高揚する。
私はテンカラ、岡本は餌釣り。岡本が餌のトンボを捕っている間に私は夢にまで見たメルガマタに第1投。1発目で8寸岩魚が飛び出しニンマリ。やっぱりメルガマタの岩魚は俺を待っていてくれた。

「うれし~い!」幸先の良いスタートに気を良くしていると、数匹のトンボを捕り岡本が寄ってきて「どう?いい感じ?」「おう、一発で来たよ。」「こりゃ~期待できるね。」と交互に釣りあがることにする。が、その後が続かない。ここはというポイントは全て空振り。「おかしいなー、こんなはずじゃないのになー?」俺たちって相当へっぽこ釣り師?

毛鉤をザラ瀬に打ち込むと何とか小さいながらもポツポツ釣れてくる。(6寸~8寸)しかし、餌の岡本には当たりすら無いらしい。
「みっちゃん釣れないね~、もしかしたら先行者いるんじゃないの?」
「それは無いと思うよ。駐車場に車なかったじゃん。」
「俺、竿抜けしていそうなところ狙ってみるよ。」と小さなポイントに餌を流し込むと「来たよ、ちいせ~5寸くらいかな。」

不安になりつつ、ザラ瀬と小さなポイントを狙い釣りあがり、何とか数匹ずつ釣ったところで「みっちゃん、こっちこっち。」岡本が手招きしている。行ってみると、それはどう見ても今さっきしたものと思われるキジウチの跡。
「まだ新しいな。」
「昨日は雨降ってたから、やっぱり今日のだよね?釣れないはずだよね、先行者がいるんだもん。」
「と言う事は、俺らがテン場に着く前に出発して釣りあがったんだな。」残念!!


こんなんばっかと思ったらやはり先行者が・・・

釣りばかりに気を取られていたせいか気付かなかったが、「これ、足跡だよ。」
よく見ると岩の上に薄っすらと湿った足跡が確認された。
2人、目を合わせて「ガクッ」っと力が抜けてしまった。と、ここで更に追い討ちをかけるように大雨が降りだしてきた。弱り目に祟り目とは正にこの事か。
「終わりだな。」約2時間の釣りに終止符を打つ。岩魚の顔を拝むことは出来たものの、メルガマタリベンジ釣行は惨敗で幕を下ろされてしまった。とりあえず夕食のおかずが無いので、8寸岩魚2匹はキープさせて貰った。

テン場に戻り、ひもじい夕食の準備をしていると岡本が「みっちゃん、これあるよ!」とジンギスカン1kgを出してきて「こんな事もあるかと思って隠し持ってきたんだ。」君はえら~い!
いつものように豪勢とまではいかないがジンギスカン、岩魚の刺身、岩魚汁とひもじい思いをせず、一人寂しく今日の釣行を振り返り酒を飲み干した。今日に限って普段やさしいランタンの光がやけに眩しく感じられた。
そりゃそうだ、目の前にあるんだもの・・・ちゃんちゃん。
岡本は下戸のため、メシをたらふく食っていた。

  
下戸ですこの顔で                            今日はテン場から落ちないぞ~

  
さあ、帰りの山越えだ
  

帰りは温泉のはしごを決め込んだ。桧枝岐温泉と木賊温泉、どちらも大変気持ちよく満足した。
木賊温泉では思わぬハプニングが・・・
階段を下りていくと外人の女性がタオルを巻いて座っていた。珍しいなと思っていた矢先、タオルがスルッと落ちて・・・
目のやり場に困ったが、しっかり見せてもらった・・・何を?
最後に、小さいけれど遊んでくれた岩魚とブナの森に感謝!!

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