報告 高橋信博




今年の夏は暑い!日頃から暑さには強いと自負している私も、今年は少々夏バテのようだ。
こんなときは涼しい沢に行くに限る。久しぶりに魚野川・黒沢のテン場に泊まって、釣りをしながらダラダラ過ごす予定である。

  
前回はオナラで自爆した登りも、今回は余裕                   アジサイがあちこちに咲いていた


渋沢ダムから本流を望む


千沢出合い、桂ノセンを過ぎると通常は左岸を高巻くのだが、巻き道は蒸し暑そうなので水線通しで行くことにする。水量は若干多めだろうか。真ん丸の釜を際どいヘツリで越えて行く。渡渉点でお助けテープを準備していると、ふと7年前の光景を思い出した。
ここは当時初心者だった佐藤が、「怖え〜!」と言っていた場所だ。腰ほどの深さだが水流が狭まっていて流れが強く、もし流されたら下流の曝流帯に飲み込まれる。あの時は雨でもっと増水していたっけ。そうか、7年経つのか・・・。

あの日は途中から本降りになって、高沢出合いのテン場に急きょ変更、そこで見た光景に愕然としたものだった。
そこはまるでゴミ捨て場。ガス・ガソリン・缶詰等の空きカン、ジャンパー・シャツ・靴などの衣類・・・思わず吐き気をもよおす物体もあった。

初心者の佐藤にはみせたくなかった。渓で遊ぶ者の心構え、マナーなど、未熟な私なりに教えてきたつもりだった。
車止めから4〜5時間は要するこの山奥で、明らかに釣り人のものとわかるゴミの山。渓流釣りを始めたばかり、見るもの全てに目を輝かせていた彼は、その時どう感じただろうか。

翌年、このテン場の清掃を計画した。佐藤と、当時知り合って間もないけんちゃん(菊地)、貝好さん、小峰さん、よしみさんも同行してくれた。燃えるものは全て焚き火で燃やして、カン・ビン類は分担して背負い持ち帰った。
いま振り返ると、この時の山行が川越渓美隊の原点だったのかもしれない。



2001年清掃時に持ち帰った空きカンの山
            

高沢の出合いで、1人のフライマンがキャスティングを繰り返していた。話しかけると、どうやら黒沢のテン場に7人で来ているらしい。
高沢にも現在仲間が釣りに入っているという。あちゃ〜っ、参ったな〜、釣りするとこないじゃん。
予定変更して懐かしの高沢テン場に荷を下ろすことに。6年ぶりのテン場は・・・思ったよりきれいだった。苦労して片付けた場所がまたゴミだらけになっていたら、と内心見るのが怖かった。やはりゴミがゴミを呼ぶ、ということだろう。正直ホッとした。
今夜は持ち込んだオ・ニ・クで盛大に呑もう!
  
高沢テン場、思ったよりきれいで安心した            本流を見下ろせる抜群のロケーション


  
「馬庭惣菜店」開店                              鳥のから揚げ、旨かったよ!
  
煙に好かれる馬庭のカオ芸「何でこっちばかり・・・」                 合鴨の油を再利用したランタン


翌朝、早起きして朝メシを食べながら本流を見下ろすと、「ガ〜ン!」昨日のフライマンのお仲間がもう下って来ているではないか。
なんて釣り熱心な人達なんだ!渓美隊も少しは見習わなくては・・・って所詮ムリだな。
声をかけて先行させてもらう。大ゼンを越えたところから竿を出すがイワナの出はイマイチ、しかし何とか9寸超を2尾と8寸1尾をキープ。よし、いけるぞ!と思ったら前方の樹林の中にテントが。なんとそこには人が3人、上流を見ると釣り人が2人・・・
終了〜!釣りをした区間わずか数百メートル。「しょうがないから高沢釣るか。」「そうですね。」
引き返して大ゼンを降りてみると、先程のフライマンがまだ粘っていた。

  
大ゼンを越えてから竿を出す                        魚野川の美しい流れ


  
テンカラで攻める馬庭                            何とかイワナに会えました〜



高沢も昨日の今日じゃあまり期待はできない。先行したまにちゃんに追いつくとキープは1尾。すると今度は上流から1人の若者が下ってきた。野反湖から登山道を歩いて高沢を下降してきたそうだ。「すいませ〜ん、荒らしちゃって。」「いいのいいの、釣れないからもうあがるとこですよ。」本日のキープは4尾、この激戦じゃーまあまあか。

  
高沢で、「ちょっと贅沢中華三昧」                                 メシまだ〜?


絶品! イワキュー巻き
  
イワナさばき〜の                      キュウリと一緒に巻き〜の

  
出来上がり〜の                       食べ〜の!



  
最近定番の肉じゃが                       じっくりと煮込んだイワナ汁 他に具はいらない旨さ


それにしてもここは涼しい。今朝なんか寒くて目が覚めたくらいだ。今ごろ埼玉は地獄だろうな。最近は暑いことで有名になってるみたいだし、熊谷市なんか「あついぞ!熊谷」Tシャツを作って売り出してるらしい。事実この釣行の数日後、熊谷市では40.9度という日本記録を打ち立てた。74年間記録を保持してきた山形市は大汗をかいて悔しがったそうだ。
同じく40.9度を記録した岐阜県多治見市は、「いやぁ〜まだまだ夏は長いから、負けませんよぉ!」と熱い闘志を燃やしているとかいないとか。まったくどーなってんだか・・・。

最終日、本流を下って行くと、沢登り1組、釣り人2組とすれ違う。おそらく源流部を含めると数十人がこの渓に入っていただろう。
その中で逞しく生きるイワナ達と、それを育む山の豊かさに深い感動を覚えながらも「これだけ人臭いとなんだかな〜。」と感じた今回の釣行であった。

  
暑さついでにラッコの練習                         帰りも全て水線通しで


気持ち良い遡行ももうじき終わる