報告 佐藤恵亮



膝が・・・女川、蕨峠越えで痛めた膝が痛い。めっちゃくちゃ痛い!
5月最終週の千葉軍団・おでこ会との魚野川合同釣行では高巻きの最中に、左膝靭帯が「キーン!」と悲鳴を上げた。「ごめん、ちょっと待ってぇ〜(∋_∈)」といった状態で先を歩く仲間の足を引っ張ってしまった。
テン場到着後、同じく膝を痛めていた小林師匠と二人、河原にしゃがみサロンパスを張り、「うーん、ちょっと次の大深沢やめておきます。みんなに迷惑かけちゃうし・・・。」完全に心が折れてしまい、その日のうちに隊長に辞退を申し出た。
6月に入り左膝にはシップを左右2枚、リハビリの日々を送っていた。状態は少しずつ回復し渓に行きたい気持ちと、まだまだムリはできないという気持ちが交錯していた。そんな中、今回のメンバーであるけんちゃん(菊地副隊長)からメールが入る。
「膝、痛むの?」「大深沢一緒に行こうよ殻。」「歩きもちょっとだしさぁ、湯治だと思ってさぁ〜。」「ねぇっ!?」
そんなに言ってくれるなら頑張っちゃおう!と再び参加を決意したのだった。
今回の大深沢計画はひょんなことから立ち上がった。とは言っても私は酔っていて半分以上覚えていないのだが・・・。
いつもお世話になっている源流紀行の小峰さんが毎年恒例で企画してくださっている山菜教室は今年も大盛況!その中でひときわ笑顔ビームを放つおじさんが1人、そう採食集団代表、酒田のじっちゃんだ。 隊長とじっちゃんは毎回顔をあわせる度に「今度、渓でご一緒したいですねー。」と話をしていたそうだが、私は今回ほぼ初めてに近い状態でお話しする機会を得た。
「大深沢いいよー。」・・・じっちゃん
「いいなー!前から本やネットで見て行きたいと思ってたんですよー。」・・・佐藤
「テン場まですぐだし、なんたって最高の温泉があるんだから。」・・・じっちゃん
「佐藤、前から行きたいって言ってたよなぁ。よし行こう!大深沢!」・・・隊長

こうして、大深沢釣行が決まったのだ・・・たぶん。
しかもこの時、入隊希望者が!川越渓美隊への入隊希望者が現れたのだ!
その人が今回一緒に行くことになったオマちゃん(尾亦さん)だ。オマちゃんは普段近郊の渓で日帰りの釣りを楽しんでおり、以前から源流への憧れがあったという。渓美隊のホームページもよく見てくれていたそうで、今回入隊したいと言ってきてくれたのだ。その日以降、電話でのやり取り(勧誘作戦)数回、池袋・渋谷での買い物にも付き添い、装備一式を新調。今回の大深沢釣行に参加することになった。泊りでの釣りは初めての体験だ。
秋田県玉川源流部、大深沢は最近の温泉ブームで人気スポットとなっている玉川温泉の源流部である。関東からは東北自動車道をひたすら北上。記憶を失いかけた頃、なんとか松尾八幡平インターに到着。八幡平アスピーテラインを走っている間に、日の出を迎える。
真っ白い温泉の湯気を横目に見ながら進むと、なんだかやけに軽トラとすれ違う。夜明けの山中にもかかわらず、ありえない軽トラの数。そう、この時期この辺りはタケノコ(ネマガリダケ)採りのピークだったのだ。「それにしても今日は金曜日だよなぁ?ってことは毎朝ここはこんなに賑わっているってことなんだよなぁ〜。」なんて考えながら林道へ。そこはもしかするとその時期の仙北市で一番人口密度の高いエリアだったかもしれない。とにかくタケノコ採り人口の多さにびっくりした。


朝焼けに燃える山


アスピーテラインから見た岩手山

車止めには先行者の車が・・・。「まあ、とにかく行ってみよう!」関東沢まで行くとなったらテン場を上流にしなければ・・・などという話も出たが、みんな手持ちで荷物を持ち、完全に温泉気分。上流に行く気など全くなかった。
ルンルンで砂利道を下っていくと釣り橋が現れ、渡ってちょいちょいっと行ったら「到着〜!!」しかも、先行者はここにはいなかった。「よし、風呂掃除しに行こう。」荷物を置いて、歩いて1分の露天風呂へ。デッキブラシでゴシゴシ擦りヌルを落とす。「これで、釣りから帰ってくる頃には最高の風呂が出来上がっているからねー。」とじっちゃん。
「さて、薪でも集めよう。」「そうだね。」結局、上流に行くなんて事は誰の口からも出ず、あっさりテン場設営となった。
タープを張り、ほどほどに薪が集まったところで釣りに出かける。「今日は先行者がいたし、まぁオカズ分が確保できれば良いよね。」とみんなで本流へ。少し開けたところから竿を出していく。オマちゃんは餌釣りで大きな石の裏を流すが魚は留守。皆それぞれ竿を出す。その後私と高橋隊長は一緒に堰堤下を釣り上がり、じっちゃん・オマちゃん・けんちゃんの3人は堰堤上に上がった。
私はいつも餌釣りとテンカラ釣りを平行して行っているため、テンカラで釣れないと餌に切り替える。餌で釣れないとテンカラに切り替えるということをやっていた。しかし、それではイカーン!いつまでたってもテンカラが上達しないじゃないか!と思い、今回はテンカラしかやらないと決めていた。ところが、「ここは!」というポイントでもなかなかアタリがない。自分なりに何がいけないのか悩んだり、ポイントを変えたりしてみるが釣果はいまいち。一方、隊長はポイントごとにボコボコとイワナを釣り上げている。一緒に釣っているのにこの歴然の差。自分の技術のなさに情けなさを感じた。
その後、隊長にアドバイスをもらいながら釣っていくと、自分でも明らかに違いを感じる。ポイントの見方、ラインの伸び方、毛鉤の落ち方・・・。隊長からアドバイスをもらい、その的確さと自分の未熟さを痛感した一日だった。最後に尺イワナを釣り上げ、なんとか気持ちよく第1日目の釣りを終えることができた。


吊橋を渡ると極楽テン場はすぐそこ


じっちゃんの号令で風呂掃除開始!


ダム下を釣る


美しい居付きのニッコウイワナだ


ダム上流組


オマちゃんも嬉しそう♪

テン場へ戻ると、上流組も戻ってきていた。途中からぴったりとアタリが無くなってしまったそうだがそこまでで数匹をキープしていた。オマちゃんも「やっぱりいいっすねぇ。釣れましたよ。」と笑顔だ。
温泉の温度調節をしながら、宴会準備に取り掛かる。オマちゃんとふたり、河原へ降りて今日いただく分のイワナをさばく。「ここから包丁を入れ、骨に沿って・・・。」と丁寧に教える。自分の時と比べると、オマちゃんの飲み込みの速さと手際のよさにビックリ!今後が楽しみだ。ムフッ(笑)
思ったより早く下準備ができた。すると丁度よく隊長が「風呂入って来いよ!」「やったー!待ってました!」オマちゃんと二人風呂に向かいはじめたその時、「ビール持っていくんだぞ〜!」酒の神様の声かと思ったら、じっちゃんの声だった。
超〜極楽!温泉サイコー!ビールうめえぇぇ〜〜!!
大好きなことさんざんやって、くたびれて帰ってきたと思ったら、そこには最高の露天風呂が待っているなんて、ここは本当の極楽に違いない。
サッパリしたところで今宵の宴が始まる。ワイン3リッター、日本酒1.5リッター、焼酎○○リッター、ビール・・・。
まったく上流に行く気なんか無いんじゃないか!!酒はたっぷりある。ツマミもいつもどおりたっぷりある。
こうして今回のメンバーが出会い、一緒に楽しめるということに乾杯!


ひとっ風呂浴びて・・・


カンパ〜イ!夢のようなテン場です


イワナの刺身


けんちゃんのフェットチーネのクリームパスタ


タケノコを焼くじっちゃん


風呂とビールとイワナ寿司 最高の贅沢!


じ、じっちゃん! だ、大丈夫なの!?


いつものようにオチたけんちゃん

翌朝は、最近定番の納豆で朝飯をかき込み早出をする。オマちゃん・けんちゃんは伝左衛門沢へ。高橋隊長と私は本流堰堤上を釣りあがることになった。じっちゃんは酒と風呂を楽しみながらのお留守番となった。
「よし、今日はこの辺りから竿を出してみよう。」と隊長。2秒後「よっし!きたきた!」「えっ!もう!?」一投目から良型がかかる。私も昨日の復習をしながら毛鉤を打っていくが、少し慌てると失敗してしまう。精神力の鍛錬も必要だ。
それでも何とかぽつぽつと釣ることができ、楽しむことができた。水量は多く、渡渉時に時々緊張することはあったが、気持ちよく遡行できる。イワナは上流に行くにしたがって型が小さくなってきたようにも感じたが、毛鉤に食いついてきてくれる。
立派な柱状節理を眺めたり、ゴルジュを越えたりしてヤセノ沢に到着。そこが先行者のテン場になっていた。そこから15mの滝までは遠くなさそうということで歩いて見に行く。やはり写真でみたその滝であることは間違いないが水量が全く違った。平水なら滝の左側をなんなく登れるらしいが、間違いなくシャワークライムになる状況であった。今回はこの滝を見たところで終了とすることにし、テン場へ。
伝左衛門沢組は大岩ガンガンの急登をポイントごとに餌を入れながらの遡行だったとのこと。「イワナは居るけどヘトヘトになっちゃったよ。」とけんちゃんとオマちゃんは笑っていた。


朝4時半 渓美隊にはありえない早出


1投目からきた!


水量が多く遡行も楽しい


ソヤノ沢出合


型はイマイチだがイワナは濃い


迫力ある柱状節理


ヤセノ沢出合 ここに先行者の幕があった


ダルマ岩 なんかコアラっぽい・・・

 
滝壺は煮えくり返り、渡渉もできない                   美味しい沢水でのどを潤す


テン場には他のパーティーのテントやらタープが張ってあり、昨日までとは打って変わって賑やかになっていた。聞くと地元秋田の方々で毎年この時期に来ているそうだ。挨拶を済ませ早速温泉へ。そこにも地元の方が1人休憩されていた。色々と話しをする中で、その方のお子さんが私の住んでいる川口に今いらっしゃるという話になり「お世話になっているから、これ持っていってください。」とその日に採れた大量の天然シイタケをいただいた。私が何かしているわけではないのに・・・と申し訳ない気持ちではあったが、そのやさしさに甘え、宴会のツマミとしておいしくいただいた。シイタケが苦手な隊長も「おっ!これは食える・・・。」と喜んでいた。
宴会に突入すると、お隣のパーティーから差し入れをいただいたりして交流をもつことができた。「これ、この辺りの酒だから飲んでみてください。」とお酒まで頂いてしまった。
私の経験上、秋田の人はみんな良い人だ。やさしく、温かみがある。うまい酒と楽しい会話、さらには地元の方々の人情を感じながら2日目の宴会も大いに盛り上がり、そして・・・撃沈。
翌朝、2日間の温泉付き極楽釣行に幕を降ろした。


風呂でゲットした天然シイタケを焼く


醤油をかけて完成!


2日目の宴が始まる


佐藤作・タンドリーチキン



ランタンで露天風呂 やりたかったんだな〜これが♪


早くも飯炊きをマスターしたオマちゃん 期待してまっせ!


後生掛温泉で汗を流す

 
帰りはじっちゃんオススメの店で佐野ラーメンを食べて締め!


酒田のじっちゃん、最高の温泉釣行を案内してくださってありがとうございました!今後とも末永いお付き合いを宜しくお願いします。


オマちゃん渓美隊へようこそ!これからいろんな渓を共に楽しみましょう!