報告 佐藤 恵亮



最近の渓美隊にはオフシーズンはなくなったようだ。 今までなら9月にイワナ釣りを思う存分楽しみ、「あーあー、今年も終わっちゃったなぁ〜。」と1年間を振り返ったりして、そして焼き鳥、ホルモン、鍋・・・。飲んで食ってタバコ吸いまくって、と山や谷とは全く無縁な、自分に甘〜い生活を送っていたのだ。だが昨年からは10月に入ると同時にハイキング部の活動開始。タバコもあっさりやめた。
だんだんエスカレートし、ついに私も冬用の登山靴を今年購入してしまった!今回はその新品登山靴を履いて、超ご機嫌の山行である。
高橋隊長と相談をし、はじめは谷川岳→茂倉岳→蓬峠・・・というコースを予定していたのだが、諸々の事情をふまえ(弱気)直前に平標山・仙ノ倉山へと変更した。
平標山は谷川連峰の西端に位置し、豊富な高山植物種を育む花の山として名高い。そしてその東に横たわる仙ノ倉山は谷川連峰の最高峰である。
前夜、平標登山口にあるトイレ付の広い駐車場到着、翌日に備え仮眠をとる。目が覚めると1台の乗用車が駐車場に入ってくるが、釣りではないのであわてることはない。ちょっと変わった服装(スーツにザック!?)の男性を見送り、その後さらにもう1台。我々もゆっくりと準備を始める。他の登山者に比べ少々(かなり?)大きなザックを背負い、7時過ぎに登山届を提出し歩き始める。空は雲ひとつない最高の青空だ。テンションも↑↑。
まずは樹林帯の中の階段状の急斜面を登り始める。ふと後ろを振り返ると、ところどころに雪を被った苗場スキー場が見える。「う〜ん、山から見えるスキー場ってあまりよい景色ではないなぁ。」なんて思いながら登る。靴の具合はというと、嬉しさで勢いあまって紐を少々きつく締めすぎたようだ。若干緩めてまた歩き出す。よい具合だ!
かなり前から見えていた大きな鉄塔にようやく到着、小休止をとる。想像以上の陽気でやや暑い。服装を見直しさらに樹林帯の登りへ。展望がきくようになると次の目標である松手山に到着となる。目の前にはこれから向かおうとしている平標山が、後ろにはちょっと変わった形の苗場山が雪をかぶり美しく見える。平標山までの尾根にはくっきりと登山道が見え、ピークに向かっている。
「あの辺が今日泊まる山ノ家でしょうかねぇ?」「いや、もうちょっと下がったあの少し平らになったあたりじゃないか?」
隊長が地図とコンパスで方角を確認しながら指差す。まだまだ先は長そうだ。
気持ちの良い尾根道を順調に進み、やがて登りに差し掛かる。かなりの急坂である。 高度を上げてゆくと階段状に整備された木道となるが太ももの筋肉が張り、「よいしょ!」と声が出そうになる。先を歩いていた隊長のペースがだんだん落ちてきて、「ちょっと休憩。」いつもならなんてことの無い登りなのに、なんだか辛そうだ。
「全然平らじゃナイッピョウ!」 こんなギャグが出るなら大丈夫!一段一段ゆっくりと先へ進む。「もう少し!あそこが山頂だ。」と勝手に思っていたところは山頂ではなくちょっとがっかり。そこから低い笹原を緩やかに登れば360度の展望となっている平標山山頂1,984m10:50到着する。先日降り積もった雪は道のところどころと、山頂に少し残っていただけであった。
美しい、美しすぎる!ここは、今歩いてきた道、仙ノ倉までの道、平標新道、そして山ノ家へ向かう4方向への道が交わる稜線の交差点になっている。
先に到着していたグループのおばちゃんに写真を頼まれ、「ハイポーズ!」って本当にポーズとっちゃってるし。おばちゃんが必ずとる体を少し斜めに構え、どちらかの脚を半歩分前に出しやや内側へ曲げる・・・そうあのポーズだ。チェンジして自分たちも撮っていただきちょっと早い昼飯にする。


苗場スキー場をバックに登る


鉄塔下で一休み  そこから見た松手山


天気は最高、景色もバッチリなんだけど・・・


慣れない階段登りにちょっとうんざり


登ってきた松手山ルートを振り返る  後ろに苗場山が見える


山頂は広くて平らだっぴょー!

さて、この後仙ノ倉を目指す。最高の天気と、長く続くきれいに整備された稜線の道。そして2時間弱で往復できるということもあって気分はかなり盛り上がる。ザックを草むらにおいて薄着のまま出発。
一気に下り、またチョコチョコと登り返す。途中、のどが渇いた時には低木の下に無数に落ちていた氷柱になった氷を口に含んだ。雪も今までよりは多く残り、だんだん肌寒くなってきた。木の階段を登りたどり着いた仙ノ倉山頂2,026mは、谷川連峰最高峰にふさわしい絶景だった。
再び、平標山頂に戻り今度は交差点を左折。山ノ家へと向かい。歩き始めは整備された木道の下りが気持ちよかったが、全貌が明らかになるにつれ徐々に気が遠くなる。ずーっと急な下りの、ずーっと木道なのだ。周囲の景色は最高なのに膝がワナワナ・・・


ザックをデポして仙ノ倉山へ向かう


こんなカッコじゃ寒かった!  谷川連峰最高峰をナメてました〜


万太郎山


右手が平標山  結構歩いてきたのね〜


エビス大黒ノ頭


初雪と新品の登山靴


平標山を登り返す


平標山ノ家までの下りはず〜っと木道  再びうんざり

ようやく到着した今回の泊まり場、平標山ノ家は、時期的に営業はしておらず冬季避難用に2階の扉だけが出入りすることができるようになっていた。平成18年に新しく立て直したということでとても綺麗な小屋だった。そして何よりも小屋側面の蛇口から水がじゃんじゃん出ており、使いたい放題なのだ。こんなに嬉しいことはない。小屋の裏を流れる沢の水を引いているようだが、ここが赤谷川支流笹穴沢の最源流なのだ。
ここまできたら乾杯までの準備は早い。さっさとテントを張り、寝る環境を万全に整える。 沢とは違い、衣類が濡れないのが嬉しい。タイツやダウンで防寒対策をしたら、ホルモンとビールで宴会開始、15:20!早い、早すぎる!一次会は冬間近でも外だ。
1時間もしないうちに太陽が沈み、急に寒くなる。「よし!テントに入って鍋にしよう、鍋!」テント内は火を使うことでポッカポカ。絶対に鍋やバーナーをひっくり返さないよう、お互いに動くときは火にかかっているものを押さえ、気をつける。
ハフハフ言いながら鶏肉の水炊きをほおばり、焼酎をお湯割りにして飲む。そして、今回の山ノことやこれからの釣り、ハイキング、冬山についての話で盛り上がり、いつしかベロベロになってシュラフの中に潜りこんだ。明け方、まだ暗いうちにトイレに起きた。真ん丸のお月様があたりを照らし、ヘッドランプなしで何でも見えてしまうほどだった。その幻想的な様子に暫く浸り、またシュラフの中へ。
翌日も快晴。山の向こうから昇る朝日が眩しい。あたりは霜で白くなっている。コーヒーを手に、稜線を見上げる隊長の姿がやけにかっちょいい。「♪ダバダー ダーバ ダバダー ダバダー♪」とネスカフェゴールドブレンドのテーマソングが聞こえてきそうだ。
朝ごはんには、はじめてのアルファ米(尾西のわかめごはん)に挑戦。袋の説明書きをよーく読み、お湯を入れる。ただそれだけ。あとは持っていた保温袋にいれて待つ。出来上がって、付属のごま塩をかけながら付属のスプーンでパクリ。今まで心の中でちょっとばかにしていた自分に反省した。「うまい!普通にうまいね。」あらたな発見でした。


小屋に到着  最高のロケーションだ!


早速宴会  北海道直送の塩ホルモンを焼く


「いっただっきま〜す!」  沢もいいけど、山もいいよね!


寒くなってきたのでテントで二次会


本日の鍋は「鶏肉の水炊き」でございます!


朝日を浴びる山小屋と平標山


高橋信博45歳 違いがわかるようでわからない男・・・


沢と違って質素な朝食  アルファー米も結構いけるね


使い放題!蛇口から水が出っぱなしなのだ♪

帰りは平元新道を使い下山。この道もかなりの急勾配だが、立派な木道が最後まで続く。ブナ林ではキノコを期待していたのだが、全くその気配もなくややしょんぼり。
1時間弱で上信越自然歩道にぶつかると、平元新道登り口ということで平標山の説明を書いた大きな看板と、短歌を彫りこんだ真新しい石碑が建っていた。ここからは遊歩道を歩き、沢沿いを進むと駐車場に戻るのだが、最後の最後にご褒美が待っていた!「よし!」と隊長が叫ぶ。振り返ってみるとそこには大きな倒木に無数についたムキタケちゃん。「うわ、裏にもいっぱいついてますよ!」半分ずつお土産になった。


大源太山も登ろうと思ったけど・・・平元新道でとっとと下山


ほんとこんな感じだったなぁ・・・


帰り道でムキタケをゲット!


土産を手に、ご機嫌の山旅でした


一度来てみたかった法師温泉  メチャ混みでした

今年は、冬山登山にどっぷりはまりそうだ。これから始まる忘年会シーズンだが、あまり気を抜かずトレーニングしなくっちゃ。そして、白銀の世界を満喫だ!!