報告 菊地 顕一




今年の年明けすぐに行った八ヶ岳阿弥陀北陵の帰り道、「思い出に残る山行は?」という話題になり、友人の『ねもちゃん』がかなりベタ気味に「飯豊はいいで~!!」と以前行ったことのある飯豊山行の思い出を話してくれた。雑誌でしか見たことがないが、たおやかな飯豊の稜線歩きは、話を聞くだけでもそそられてしまう。
「そんなところを高山植物に囲まれながらマッタリと歩いてみたい!」という思いが日に日に大きくなっていき、8月初旬、お花畑も真っ盛りであろうこの時期に、5泊6日の飯豊連峰縦走を計画した。
コースは新潟側の大石ダムから朳差岳を目指し、そこからは主稜線を縦走、飯豊本山を経て福島県の川入へと下るルートである。初日、2日目は大石川西俣で釣りを楽しみ、その後飯豊連峰を縦走するという欲張りな山行だ。
8月1日(月)
「今日はみなさんお仕事なのですね、残念ですぅ♪」と心の中でイジワル気味につぶやきながら、スーツ姿のサラリーマンを横目に大宮駅から新幹線に乗りこみ新潟駅へ。JR特急に乗り換え越後下関で事前予約していたタクシーに乗り込み大石ダムへと向かう。ダムサイトで支度をし10時すぎにいざ出発。本日の行動予定は大熊小屋までの道のりだ。大熊小屋までは初めての道のりだがエアリアマップのコースタイムだと6時間強の歩きとなる。初日の慣れないカラダにはちょっとキツめかもしれないが、時間はたくさんある、ゆっくり行こう。さあ、6日間の山旅の始まりだ!
「大したもん蛇」が保管されているトンネルを抜け湖岸道を歩いて行くと、すぐにザックが肩に食い込む。ザックの中は野営道具一式と6日分の食料、そして「山で酒だけは切らしちゃなんねーよ!!」と、箱入り赤ワイン3ℓ、37度焼酎1ℓ、ウイスキー350mℓが入っている。これから数日間歩きっぱなしだというのに、ザックの重さは30キロを超えてしまい“アホかっ!?”ってほどパンパンに膨れ上がっている。
しかしそれには訳があるのだ。そう、私の心には昨年の夏休み山行「南八ヶ岳縦走 酒切れ下山事件」がトラウマのように重くのしかかり、呪縛から逃れられないでいる。最近流行りのULハイキング(ウルトラライトハイキング)の真逆をいく『UHハイキング(ウルトラヘヴィハイキング)』である。昭和の時代を彷彿させる「気合!!根性!!」の山登りスタイルが、いつの日かブーム再来となることを願っている・・・。
滝倉橋のポストに登山計画書を出し、ここからが登山道のスタートだ。イヅクチ沢先の中ノ俣沢下降点までは以前行ったことがあるのでグイグイ進んでいく。岩盤に道が切ってある箇所を回り込んで約30mも下るとイヅグチ沢。ここまで約2時間、大休止を兼ねて昼食とする。それにしてもザックが重い。一人なのだからゆっくり歩けばいいのにちょっとオーバーペース気味、あと4時間も歩けるだろうか?
草が刈り払われ良く整備された西俣川左岸の道をさらに進むと、スノ沢に下りる手前の右斜面に、まるで「今宵の宿はこちらで~す♪寄ってらっしゃ~い!」的な真っ平な台地が・・・。時間は14時ちょっとすぎ。一瞬、「ここで泊まっちゃおうかな~?」と誘惑に駆られそうになるが「イカンイカン、ここで泊まっちゃ大熊小屋でマッタリしながらイワナ釣りの計画が・・・。」ということで先に進むことにする。
十貫平という平らなブナの森をすぎるとタキプ沢の出合い。ザックの重さで肩も腰もシビれてきた。さっきスノ沢での一瞬「泊まっちゃおうかな~♪」という気持ちをまだ引きずっていたらしく、「今日はここで終了で~す!」とあっさり気持ちを切り替え、テン場設営にとりかかる。
沢を少し入った良さげな場所を今夜の寝床に決めた。今回はなぜかミニタープも持ってきていて、いつもであれば沢ではタープで寝るのだが、購入したてのMSRテントを試してみたくてテント泊にした。設営後、小一時間釣りをしてみたが先日の新潟福島豪雨の影響なのか水量はかなり多く、渓はかなり荒れている。アタリもないので早々に引きあげることにした。いつものように焚火をし、酒を飲みながら今日を振り返る。「あぁ、ホント荷物重かった。明日はヘタレなければいいけどな・・・。」


今回は新幹線MAXの2階席で♪


大石ダム ここから今回の旅が始まる


「大したもん蛇
トンネルの前で今年の夏渓美隊で流行った「まにポーズ」で


滝倉橋を渡ると大石川西俣左岸の登山道が始まる


イヅクチ沢付近では岩盤を削って道がつけられている


道幅はあるが落ちたら沢床まで真っ逆さま  セルフ撮りも命がけ!?


この時期、登山道はしっかり整備されていた


アホかっ どんだけ背負ってるんかい!


というわけでアッサリ挫折


やっぱ山にはオニクでしょ~! ホルモンとミズの炒めもの


野菜もちゃんと摂らなきゃね! オクラとミョウガのおかか和え


ひとりぼっちの夜、焚火を見てると心が和む  そして就寝

8月2日(火)
5時半に起床し、焚火を起こしてまずは朝のコーヒータイム。朝食のついでに今日の昼メシ(お弁当)の準備をする。8時に出発するとすぐにアブがブンブンと飛び回って嫌気がさす。セガイ沢を渡り、わずかなアップダウンを繰り返していくとやがて沢音が近づいてくる。斜面を下り吊橋を渡ると緑の森の先に青い屋根の大熊小屋が見えた。小屋内は一人の寝床が敷かれており、先客はどうやら釣りに行っているみたいだ。昨日の渓の様子じゃ釣りも期待できないのでキモチを山登りモードに切り替える。そうと決まれば少しでも早く稜線に立っておきたいということで、今夜の泊り場を朳差小屋に変更することにした。時間はまだ11時、エアリアマップのコースタイムだと大熊小屋から朳差岳まで5時間20分。このザックの重さでも陽のあるうちには小屋に着くだろう。
大熊平のブナ林を歩き大熊沢へ架かる吊り橋を渡る。若干の登りを経て大熊尾根に乗り、そこから一歩一歩足を進めて行く。朳差小屋まで行こうと決めたものの荷の重さにまたまた喘ぎ、コースタイムからだいぶ遅れる。13時半に一杯清水と呼ばれている場所で水の補給と昼メシをとりながら小休止。ここからは朳差岳までコースタイムで約3時間の登りだ。自慢じゃないが、このザックを担いで山頂まで登りきる硬派な気力なんてものは、もともと持ち合わせていない。このペースでは山中ビバークもありうる。小一時間の休憩後出発をするが、やはり足は遅々として進まず16時近くに一ノ峰直下の1200m付近の「カリヤス平」に着く。これから標高差で400m以上も登る気にもなれず、想定内であるがビバークをすることにした。しかし、ビバークと言っても水が豊富に無く、焚火ができないだけで、泊り自体はいつもの沢泊りと変わらないもの。タープを張り30分後には今日一日の疲れを癒してくれる『力水』をグビグビと呑るのでありました。


朝食ガッツリ食べて今日も一日ガンバルどー!


本日のお弁当


沢沿いの道は水がジャバジャバ出てていいね♪


西俣川から見たゼカイ沢出合い


大熊小屋下、西俣川に架かる吊り橋


大熊小屋  画面奥側から登ってきて、玄関のすぐ前に水場アリ


大熊沢に架かる吊り橋、この後少し登って大熊尾根に取り付く


大熊尾根というだけあってクマの爪痕だらけ


大熊尾根から大熊沢を見下ろす  前方にはどんよりとした雲が・・・


「一杯清水」 画面奥


こんな感じでチョロチョロ


1100m付近で・・・「あ~ぁ、荷物重くて疲れちゃったな~」


1200m付近で・・・結局今日もビバーク


すごく元気なビバーク


そして夕暮れ 明日ガンバロっと!

8月3日(水)
夜中に目を覚ますと満点の星空。今日はいよいよ飯豊の稜線に出る。今日も暑い一日になりそうだ。
一晩寝て体力は回復しているものの、朝イチからの一ノ峰の急登はやはり堪える。喘ぎながら一ノ峰を登りきると視界が開け、二ノ峰の奥に朳差岳が稜線上に浮かんでいる。テンションはMAXあげぽよ状態。
新六ノ池を過ぎ、最後のひと登りで朳差岳避難小屋に到着。将棋の駒の形をした清潔な小屋には、先客が一人昼寝中だった。ザックを下ろし、ほんの3分程で朳差岳山頂へ到着する。振り返るとこれから歩いていく、緑がまぶしいほど美しくてどこまでもたおやかな稜線が、ずっと先まで続いている。それを見つめながら一人ニヤニヤした。
小屋下の、あまり豊富とは言えない水場で水を補給し再スタート。稜線上の整備された登山道は黄色や紫に咲き誇ったお花畑の中をどこまでも進んで行く。鉾立峰から大石山へと登り返し、頼母木小屋まであと数百メートルのところで天気が急変、バケツをひっくり返したようなドシャ降りとなる。急いで頼母木小屋へ駆け込むと、管理棟前で先着の皆さんがビールで乾杯していた。昼前から宴会なんてうらやましい限りだ。
「雨降ってるし、今日はキミもここに泊まって一緒に飲もうよ~!」と管理人さんと皆さんからありがたいお言葉をいただいたが、今日はできれば門内小屋まで進んでおきたい。苦渋の選択を強いられたが、1時間ほどして次第に雨が弱まりガスが晴れてきたので、後ろ髪を引かれつつ小屋を後にした。
それからは天狗平への分岐点、丸森尾根、梶川尾根を左に見送りながら門内岳北側直下の今夜の宿泊地「門内小屋」に到着し、縦走3日目にして初めてちゃんとしたキャンプ指定地泊りとなった。いつもは河原の適当な場所に泊まっているので、逆にキャンプ指定地なんて慣れていないからドキドキもんだ。といっても、どうやら今日は貸切状態。管理棟で幕営代500円と缶ビール代700円を払い、山形県側に一段下りたところにある広場にテントを設営しながらビールで喉を潤す。
ひと段落ついたら稜線まで登り返し、日本海へ沈んでいく真っ赤な夕日を眺める。暮れていく夕日になぜか涙腺がゆるんでしまう。早々に夕食を済ませシュラフに潜り込み、今日一日の出来事を振り返る。疲れていたのかすぐに眠りについてしまった。


3日目の朝は一ノ峰の急登から始まった


やっと着いた二ノ峰の頂上でガッツポーズ  朳差岳避難小屋はもう少し


名前はわかりませんが新六ノ池付近に群生していた花  これからちょいちょい花を載せていきます


振り返ると素晴らしい景色








朳差岳直下に建つ避難小屋に到着 陽当たりバツグン


とりあえず記念のポーズ


1636m朳差岳山頂


これから歩いて行く稜線を眺める


高山植物が咲く中、3日目にしてやっと稜線歩きが始まる




そこらじゅうにお花畑が広がる






ガスったり晴れたり、天候の変化が目まぐるしい






奥胎内ヒュッテからの登山道合流点付近の大石山山頂


もうすぐ頼母木小屋 このあとドシャ降りに遭う


頼母木小屋到着! 


小屋奥の建物はバイオトイレ こんな感じ↓↓


用を足したあとにペダルを漕いで撹拌する


頼母木山山頂


どこまでもゆったりと続く道 サイコ-の気分だ


ひっそりと建つ胎内山山頂碑  自分らには胎内川の方が馴染みアリ


門内岳直下に建つ門内小屋


手前石積みの奥が管理棟  中央白い建物が小屋、その奥がトイレとなる


小屋前にある鐘 左手に下りていくとテン場


北股岳や梅花皮沢が見える絶好のロケーション


今宵もテン場は貸切りです♪


今宵の食事はアマノフーズのアジャンタチキンカレー  本格的な味すぎて自分には合わず

8月4日(木)
朝日が力強く東の空から昇り、今日歩いて行く稜線の峰々を照らし始めた。眼下には雲海が広がりとても神秘的な瞬間だ。朝食を済ませテントを撤収し今日も一日が始まった。
ギルダ原という草原の中を進み、緩やかな登りを経ながら今山行初めて2000m越えの北俣岳山頂へ。南西方面に下ると加治川(飯豊川)と北俣川の中間尾根「おういん尾根」を経て湯の平温泉へと至る。北俣岳をから南東に下り始めると眼下に石転び沢の雪渓と梅花皮小屋が見えた。梅花皮小屋の管理人さんは巡回のため不在らしく、内部を見せてもらうとすごくキレイで清潔な小屋であった。特にトイレが水洗なのにはビックリ。水場も小屋からほんの50mほどで「治二清水」という名水。キンキンに冷えた水がジャボジャボ出ていた。
梅花皮岳、烏帽子岳と登り返し、山頂で最近お気に入りの昼食「サタケのちらし寿司」をほおばる。朝食を作るときにお湯を入れてザックの雨蓋に入れておけばよいのでとても便利だ。酢飯の酸味がカラダの中に染みわたり元気が出てくる。
烏帽子岳からは緑の絨毯が敷き詰められた草原の中を、多少のアップダウンを繰り返しながら進む。澄み渡る夏の空と緑豊かな大地を思いっきりカラダで感じながら歩いていく。4日目にして足も出来てきたのか、それとも酒と食料分の重さが減ったのか、いつの間にかザックの重さも気にならなくなり、このままどこまでも歩いて行けそうな気分になる。
山形側の玉川支流桧山沢源頭『天狗の庭』を過ぎて天狗岳を下ると、前方に今日の泊り場である御西小屋が見えた。御西小屋へ着くと小屋内はたくさんの人生の先輩達で大賑わい。テン場にもすでにテントが2張。「平日なのに山好きな人はホント好きなんだな~。」と感心する。
南斜面は新潟県実川源頭部、小屋に向かって渓からの強風が吹き荒れている。風裏にテントを設営し、まずは一息。ビールを購入しようと管理人さんのところに行くと、プレミアム・モルツであったがなんと1,000円もする! 管理人さん自身も「ビール高いよ。買わない方がいいよ。」とまるで商売っ気がない。どーしても喉を潤したかったので「1本ください!!」と言うと、管理人さんは「フライパンもってきてる?それじゃこれをあげるよ。みんなには内緒だぞ!」と味付けのレトルト焼き肉をいただいた。すでに半分は食べておられたようですが・・・(笑)
焼き肉をツマミにチビリチビリ呑りながら夕食の支度をする。今日の晩御飯はパスタ。最後に残しておいた赤ワインをやっつけて20時に就寝した。


4日目の朝、力強く太陽が昇り、陽の光を浴びた体中にパワーがみなぎる


本日の朝ごはんは昨日の残りメシのおにぎりとわかめスープ


朝の納税のあとはしっかりとペダルを漕ぐ


朝の陽が小屋と稜線を照らす


テン場から歩いて5分の水場へ向かう  雪渓の水の為、時期により場所が移動する


水場は雪解け水がじゃばじゃば出ていた


飯豊山が最奥に見えた・・・今日一日の山旅が始まる




北股岳山頂  南西の方向へ下ると加治川湯の平山荘へと続く登山道が伸びる


北側眼下にはには石転び沢の雪渓が続く


北股岳と梅花皮岳のコルに建つ梅花皮小屋




夏の空と山の緑 最高のロケーション


梅花皮小屋の水場「治二清水」 キンキンに冷えている




烏帽子岳から下るとゆるやかな稜線歩きが続く


どこまでも歩いていたい気分になる飯豊の道


飯豊連峰最高峰「大日岳」が雲の切れ間から見え隠れする


今夜の泊り場 御西小屋までもう少し


管理人さんからいただいた味付け焼き肉をツマミに、1本千円する高級ビールで喉を潤す

8月5日(金)
実はこの山行中、帰路に利用予定の磐越西線が一部不通との情報を耳にしていた。先日の新潟福島豪雨の影響だ。帰りの新幹線などの切符も早割りで購入してしまっている今、考えてもしょうがないので最終日にすべて判断しようと山行を続けてきたが、どの山小屋でも詳しい情報がいまいち得られなかった。本当はもう一泊山中で過ごす予定であったが、今夜は川入集落の民宿に泊り詳しい情報を得ることにした。
朝3時に目を覚まし、チャイを飲みながら朝食の準備をする。6時出発、カメラのバッテリーが残りわずかになっていることに気づく。
朝日を正面に浴びながら飯豊山を目指す。進んでは振り返り、進んでは振り帰り、いま歩いてきた美しい景色を確認し、感動しながら進んで行く。岩が露出したところを登っていくと飯豊山山頂はもうすぐだ。
7時20分飯豊山山頂に到着。360度の大パノラマ。西には朳差小屋からこの3日間歩いてきた飯豊の峰々が一望でき、北東には朝日連峰、東に蔵王連峰、そして南西には燧ヶ岳や越後三山も確認できた。「夏にこんなに展望の良い日は滅多にない」と地元の登山者が教えてくれた。
本山小屋からは山岳信仰が色濃く残る場所を歩いて行く。岩稜帯の『御秘所(おひそ)』。飯豊信仰においても最大の難所とされ、ここを越えることで一人前の男として認められる場所だったという。また、御秘所の、どのルートを越えたかによってもご利益が違ったらしい。そして、母と子の悲しい伝説が残る『姥権現』。飯豊山は近年まで女人禁制の山で、江戸時代に禁を破って飯豊山中に入った「小松のマエ」という女が、神の怒りに触れて石に変えられたという。飯豊山神社へと向かう登山道の横にある「姥権現」は、マエを祀ったものと言われている。そして『草履塚』。飯豊参りではここで新しい草鞋にはき替え、心身を整えて本社に向かうことになっていて、履き替えた草鞋がうず高く積まれていたという。
切合小屋で水を補給し、種蒔山へ登り返して1時間もすると前方に三国小屋が見える。三国小屋で小休止をし、霧に包まれた剣ヶ峰の岩稜帯を下って行くと川入への下山路分岐。右へ進路をとり、途中、岩盤から湧き出ている「峰秀水」と名のある水場で喉を潤し、さらに進むと横峰小屋跡という広場に着く。ここからキャンプ場のある御沢野営場へはコースタイムで2時間の道のり。「5日間歩いてきた飯豊山行もいよいよ終わり」と思うと名残り惜しいのか下山への歩みもゆっくりとなる。上十五里、中十五里、下十五里と等間隔に名付けられた広場が、山岳信仰が盛んであった当時を偲ばせる。
御沢小屋跡で町指定天然記念物の杉と栃の大木に迎えられながら林道と出合い、長いようでアッという間であった5日間の山歩きは幕を閉じた。
川入集落に今夜の宿を求め林道を歩く。30分ほどで集落に着き、縁側から子供達の楽しそうな声が聞こえている「しゃくなげ荘」へ。時間は4時を過ぎている。
「こんにちは~、予約していないんですけど、こんな時間でも泊まれますか?」と聞いてみると、奥から女将さんが出来てきて「1人?大丈夫だよ!」と優しい声をかけてくれて安心。玄関には3つの登山靴がある。自分の他にも山登りのひとが泊まっているようだ。
そして「いま一人お風呂入っているから、その人が終わったらすぐに汗流したらいいよ。浴衣も用意しておくからね。」とまたまたうれしい言葉。それだけで幸せな気持ちになり、いっぺんでこの宿が気に入ってしまった。そして縁側の声の主は、夏休みで喜多方から遊びに来ている女将さんのお孫さん2人であった。
沢を眺められる最高のロケーションの風呂に浸かりひと汗流したあと、夕食の時間までビールを飲みながら過ごしていると、「口に合うかどうかわからないけど・・・」と、お新香と野菜ジュースのペットボトルに入れた自家製の「力水」を出してくれた。酸っぱめだがどちらもサイコ-に美味しい。これじゃ夕食が出来る前にできあがってしまう。
結局この日は自分のほかに男性1人、女性2人の計4人が泊まっており、夕食時は長テーブルに全員集合、そして目の前が女性という、なんかお見合いというか合コンというかか、そんな座席位置となっている。「うわー!気まずい、なんか話題振らなくちゃ!」なんて思っていると、そこは皆それぞれ山が好きな人、飲んで話して自然に打ち解けていく。
まったく同じコースを1日先に歩いていた東京のAさん、そして明日から飯豊連峰を縦走をするというHさん、Mさんの山ガール二人組。山遊び、渓遊び、皆スタイル違えど、自然が好きという根本的な所は変わらない。偶然知り合った山仲間と、とても楽しいひと時を過ごすことができた。


朝飯は親子丼でパワー全開!


朝陽を浴びる大日岳・・・みるだけ
・・・


南東の方角には会津磐梯山が見える


さあ、飯豊山に向けて出発だ


草月平を抜け駒形山を経て飯豊山へ  この区間もとても気持ちが良かった!


飯豊山直下から大日岳方面を振り返る


MAXむくみ顔で飯豊山頂へ到着


この数日間歩いてきた飯豊の稜線


本山小屋の奥に石積に囲まれた飯豊山神社がある


遅くまで雪渓が残る実川源頭部


御秘所のの岩場を下る


悲しい伝説が残る姥権現


三国小屋  ここから下り基調となり旅の終わりも近づいてくる


ガスに包まれた剣ヶ峰の岩場を慎重に下る


御沢小屋跡への分岐


峰秀水  岩盤から冷たい水が湧き出している


横峰小屋跡  ビバークにはもってこいなんだけどな~


5日間の山旅の終わりを告げる林道のある御沢小屋跡
へ到着  看板左上から右下まで歩いてきたんだなぁ


御沢の杉(樹齢400年以上)と栃(樹齢200年以上)の大木


食べきれないくらいの美味しい料理とアットホームなおもてなしの旅館「しゃくなげ荘」 泊まるんだだったらココ!!

8月6日(土)
翌日、喜多方に住むお孫さんを送るというので車に同乗させてもらい、心配していた電車の関係も問題なく帰路の途に着くことができた。
飯豊の山で過ごした5日間はあっという間で、下山してから数日間はずっと山の中での楽しい思い出を繰り返し思いだし、魂が抜かれたように「ポケーッ」としていた。自分なりの長い距離を歩き、多少自信がついた感じだ。ロング縦走がクセになりそうである。

最後に、この山行のキッカケを作ってくれた「ねもちゃん」、ほんとうにありがとう。 飯豊はほんとに良かったよ!! オレもいつか「思い出に残る山行は?」と誰かに聞かれたら間違いなくこう言うよ!!

飯豊はいいで~~~!」と・・・。

翌日は女将さんのやんちゃな孫達と遊んでから帰路についた