出発時の予定は、三俣登山口から常念岳に登り、蝶ヶ岳までの一泊縦走。
だが家の事情により、常念岳に登ったあと往路を引き返し、前常念岳の岩屋前で泊まって朝一番で下山することになった。
三俣から常念岳まで標高差1500mの急登はかなりキツく、次回縦走時には軽量化が必須であると感じた。
常念のピークを踏んだあと、目を付けておいた岩屋に引き返す。岩屋の中は暗いので、5mほど離れた崖っぷちにテントを張った。岩屋には単独登山者が泊まっていた。
8時半には酔っぱらって就寝。早朝目が覚めると、あちこちからメールやらlineやら…。
なんと昨夜10時過ぎに白馬村を震源とする震度6弱の地震が発生。大きな被害が出ており、メールは仲間達が心配して送ってきたものだった。後日岩屋に泊まっていた人の記録を偶然ネットで発見したのだが、岩屋は大きく揺れ、彼は死を覚悟したそうだ。
下山途中に出会った若者グループの第一声が「地震大丈夫でしたか?」
彼らは一ノ沢林道が地震で通行止めになっていたので、三俣ルートに変更したとのこと。「それがさぁ、酔っ払って寝てたから全く気付かなかったんだよねぇ。」
「ええ〜!そうなんですか〜!?」
その時の彼らの驚いたような眼差しが忘れられない(もしかしたら呆れてた?)。
前常念は家ほどもある巨岩が積み重なった山である。もしこの辺りが震源だったら危なかったかもしれない。テントからは9月に噴火した御嶽山が噴煙を上げる様子もよく見えていた。
大自然の驚異の前では、ちっぽけな人間なんてひとたまりもない…。
とりあえず今回は小屋嫌いの酒好きのちっぽけな人間でよかった。
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