|
|
|
|
報告 尾亦 幸生
|
1日目
今季雪山デビューをはたした自分は、すっかり雪山の魅力にハマってしまっていた。そんなある日、隊長からゴールデンウイークの山行予定と、参加者募集のメールが届いた。
行き先は北アルプス!「北アルプスかぁー、大変そうだけど行ってみたいなぁ」バカな自分は無謀にもその山行に参加表明をしていた。
それからネットで北アルプスの記事などを見ていて、初心者の自分にはかなりハードルが高いことを思い知らされる。結果今回も期待よりも不安のほうを多く抱え、出発の日を迎えることになった。
|
行きの道中ゴールデンウイークによる高速の渋滞にはまり、沢渡バス停に着いたのは始発バスの出る1時間前になってしまった。その為、明日からの無事を願い軽く乾杯を済ませ、すぐに出発の準備に取り掛かる。デカザックを背負いバスに乗り込むといよいよスタートなんだと気が引き締まる!
終点の上高地バスターミナルには、まだ朝早いというのに沢山の登山客で賑わっていた。河童橋で写真を撮ったりしながらのんびり歩き出す!
嘉門次小屋、徳沢ロッジと良く整備された道を快調に進んで行く。横尾山荘に着いたころには青空も広がり、横尾大橋には鯉のぼりが気持ち良さそうに泳いでいた!
雪山に行くと、やたに腹が空く自分はここでスタミナ補給をする。ここまでは観光客でも来れるが、ここから先はいよいよ雪のある登山道になる。所どころ雪だった道もすっかり雪だけの道に変わっていく。しばらく行くと左手側に屏風岩が見えてきた。地図には国内最大級の岩場と書いてあるが、さすがに見上げてみるその姿には迫力がある。
|
本谷橋を渡るころ、アイゼンを付け始める人達もいたが、我々は雪も軟らかいのでそのまま進むことにした。本谷橋から唐沢ヒュッテまでコースタイムで約2時間だが、そこからは嫌な感じに登りが続いていく。周りの景色は木々も岩場も全て雪の下にあり、まさに白銀の世界!そんな中、前を見ても、後ろを振り返っても、蟻のように一本の人の列が出来ている。いったい今日だけで何人の人達が登っているのだろうか?などと考えたり、軽く雪崩れたあとを見て「うわースゲーなぁー」などと初めて見る景色に感動しながら前に進んで行く。
しかし、なかなか涸沢ヒュッテが見えてこない。見えているのは長々と続く人の列だけ。正直言うと、涸沢ヒュッテまではそんなに大変だとは思っていなかったのだ。
写真で見る秋の紅葉の景色、雪の中にある色鮮やかな夜のテント村など、どれも穏やかなイメージしか想像していなかったからだ。その想像の中にはそこまでの道のりが入っていなかったのだ(泣)何度も休憩を取ってもらいながら先に進むと、遠く前の人の列が右にカーブしている!どうやらあそこの先が今日のゴールのようだ。ちょっとホットしたのも束の間、そこまでがまだ長かったのだ。
疲れ果ててやっとこ涸沢ヒュッテに到着した体に、一気にテンションの上がる景色が迎えてくれた!そこには雰囲気のよい小屋、色とりどりのテント、その先には北アルプスの山々がズラリと見える最高のロケーション!ここに来ただけでも十分満足の出来る景色だ!
|
すぐに受付を済ませテントの設営に取り掛かる。今回初めて見る、噂に聞いていた「マニワ土木」の動きの速さにビックリ!佐藤君がその様子を動画で撮っていて、後で見てみたら早送りで見ているようにしか見えないのだ!(マジに凄すぎる)
おかげでテントの設営もすぐに済み、早速小屋に行きビールを買い、入山祝いの乾杯をする!落ち着いたところであらためて明日から登る予定の北穂高、奥穂高を見るとその斜面の急勾配にビビリが入る。追いぶちをかける様にこの日は地震による揺れも頻発に起きていてさらに不安な気持ちに拍車がかかる。しかしそんな心配も吹き飛ばす宴会が今宵も繰り広げられた!いつも関心させられる隊長の凝った手料理、マニチャンの笑を誘う焼き魚、メインは今回鍋担当の佐藤君が持ち込んだ上等な牛肉で作られるすき焼き(生卵付き)!どれを食べても旨い!いつも皆さんに感謝する!
夜も更け、テントから出てみると、そこには写真で見たあの夜のテント村の景色が広がっていた!風もなく静かな風景にしばらく見入ってしまう良い雰囲気だ。 |
沢渡からバスに乗り、上高地に到着
河童橋から穂高連峰を望む
橋上で記念撮影
横尾までのダラダラ道を行く
横尾大橋と屏風岩 この先いよいよ雪道となる
初めての穂高にテンションも上がる
本谷橋 ほとんどの登山者はここでアイゼンを付けていた
ノーアイゼンで涸沢ヒュッテまで行けました
軽量化すればよかった 毎度のことながら学習能力ゼロ
最後の分岐 前方に涸沢ヒュッテの鯉のぼりが見える
涸沢ヒュッテ着 なんとか無雪期コースタイムで着いたけど、疲れた〜!
テント受付所にあった手書きの地図
マニワ土木の作業員たち
渓美隊涸沢基地完成〜♪
明日は頑張ろう! 乾杯!
マニキ作 エボダイの干物
佐藤作 すき焼き(焼き豆腐入り)
高橋作 シーフードとキノコのアヒージョ(フランスパン付き)
尾亦作 赤城の丸福ホルモン
|
2日目
朝起きて外にでてみると天気は最高!早速朝食を済ませ、北穂高岳登頂の準備に取り掛かる。
テン場からこれから登る頂上までハッキリ確認も出来る!もうすでに先に出発しているパーティの姿が小さく見える。隊長から万が一の時の注意事項を教わり、いよいよ北穂高に挑戦だ!
涸沢小屋の脇を通るところで、長野県警山岳救助隊の方による装備のチェック、登山事故の注意などを受ける。そこから一気に急勾配がはじまる。雪質はアイゼンも良く利き、わりと落ち着いて登って行くことが出来た!
しかし高度が上がり後ろを振り返って見てみると、その急勾配のすごさにあらためて緊張する。気温も高くすぐに暑くなり、休憩の時に水筒の中身がお湯だったのが悔やまれた。しばらく上がると写真を撮っていたソロの男性の方に声を掛けられた。その男性は写真が趣味で、ちょうど登ってきた我々を撮ったので写真を送ってくれるとの事。ありがたくお願いする!休憩がてら話をしていると、昨日も登って写真を撮っていたら、今いる場所より上の方から一人滑落し、その人の横を滑って落ちていったと言う話をしてくれた。幸い怪我は無かったようで、下で止まったその人は手を振っていたということだが、その指さす距離の長さは相当長かった(怖)
改めて気を引き締めて頂上を目指す。どこかの山岳会の方らしき3人が、ザイルで確保しながら新人と思われる人の訓練をしていた。それを見てなんだか怖そうにみえるが、カッコ良くも見えた!(本来ならば、自分もそう言った訓練を受けたほうがよいのだが)
|
人生初の3000メーター越まであと少し!しかし最後の詰めまで容赦なく急登は続く。慎重に一歩ずつ前に進みようやく頂上にたどり着くことが出来た!そこから見る大展望は最高のものだ!遠くには槍ヶ岳の頂上がハッキリと尖って見えている!皆で記念撮影を済ませ、その奥にある北穂高小屋で休憩をする。ありがたい事に天然の冷蔵庫で冷えたジュースが売っているではないか!すぐさまジュースに飛び付いた。それにしても、よくこんな山の上にこんな立派な小屋を建てたものだなと感心させられる。天気も最高に良く、のんびりと頂上の雰囲気を楽しむことが出来た!
さぁ、あとは下るだけ!しかしこれが本当に怖いのだ。頂上直下の少しの距離の下りでもうすでに怖いのだ(汗)アイゼンを引っかけてバランスをくずさないように、急な下りに足を1歩前に出すのにかなり慎重になる。しかし前方に見える景色は最高だ!涸沢のテント村もゴマのように小さく見える(笑)
少し下ると気温が高い為、少し雪が軟らかくなっていたので、足の着地場所が確保しやすくなり歩きやすくなった!後半はだいぶ歩くコツも分かり、無事テントまで事故なく戻ることができた!
|
テン場に戻ってまずは渇いたノドを潤そうとヒュッテに駆け込み、生ビールで乾杯!
ホッとひと息つけるこの瞬間がたまらなくいい!時間は1時を回ったくらいだったので、このまま宴会に突入するのにはちょっと早すぎるので、テントに戻り少し昼寝をすることにした。テントの中は夜とは違い、少し暑いくらいだ。何も掛けずにそのまま気持ちよく横になる!
夕方近くになり周りのテントも賑やかになり始め目を覚ます。それでは我々も始めますかと宴会の準備に取り掛かる!今夜も皆さんそれぞれ持ち込んだ料理がテントの中で振舞われる。実は2日目の鍋担当は自分だったのだが、皆さんのつまみを食べ、酒を飲んでいるうちに眠くなり、そのまま寝てしまったのだ。目が覚めて慌てて作ろうとしたが、そのときには皆すでに、腹も満たされており、鍋はお持ち帰りとなったのだ(皆さんすみませんでした)
翌日は奥穂高岳登頂の予定だったのだが、昼には雪が降ると予報が出ていたのでこの時点で登頂は見送ることになった。
|
夜明けの奥穂高岳方面
北穂高岳方面
北穂沢から北穂高岳をめざし 「行くぞ〜!」
テント村がどんどん小さくなっていく
吊尾根から前穂・北尾根
北穂沢の登り
傾斜はこんな感じ(上部はもっと急傾斜)
傾斜の緩んだ安全地点で休憩をとる
北穂東稜(ゴジラの背)を登る登山者
北穂山頂! 槍の穂先をバックに
佐藤くん、まにちゃんも登ってきた
全員集合!
雪の階段を下りて北穂高小屋へ
こんなところによく建てたもんだ
槍ヶ岳の雄姿 次の目標かな!
槍をバックにジュースで乾杯(ビールは下りてからね)
滑ったらヤバいので慎重に下りていく
長野県警の新人女子隊員達
テン場は見えてるけどなかなか着かない・・・
日暈(ひがさ、にちうん) 初めて見た
2日目もガッツリと肉! 寄居の市川ホルモン
おつまみネギチャーシュー
麻婆豆腐
涸沢ヒュッテは水道があるから楽ね♪(フチ子の会話)
|
3日目
朝起きたときは曇り空だったのだが、すぐに予報よりも早く雪が降り始めた。
とりあえず下山の準備に取り掛かる。撤収作業をしているそばから雪は少しずつ積もっていく。荷物をまとめ、ひと段落したところで、ヒュッテで朝食を取る事にした。
朝から皆がっつりカレーを注文する。2日間お世話になった涸沢に、名残惜しみながら下山を開始する。帰りの本谷橋までの下りもツラく、太ももの横の筋肉がすぐに痛くなる。
それでも登りのときよりも全然速く本谷橋に着くことができた。このころには雪も雨に変わり、バスターミナルに着くころには全員濡れガラス状態になっていたが、何はともあれ皆無事に下山することが出来た!
今回の山行で、今季の雪山が最後になるのは淋しかったが、自分にとってかなり良い経験になり、来季への自信にもつながった!隊長を始め、佐藤君、マニちゃん、今季一緒に山に行って下さった皆さん、ありがとうございました!また来季の雪山もよろしくお願いします!
|
3日目は朝から雪 奥穂は止めて撤収決定
ヒュッテでカレー食って帰ろうぜ!
本降りの雨の中、上高地へ無事帰還
1日早い下山だったけど充実した山行でした |
|