報告 佐藤 恵亮


今年は台風の上陸も多く、釣りの行き先選びには苦労した。今回も新潟の沢を予定していたが、天気予報は雨と曇り。日本全国傘マークがついている中、東北北部にだけ晴れマークが。「増水の早い沢に悪天候で入っちゃダメだ。東北にしよう。新潟はまた来年だな。」
前夜、隊長との電話で決定した。そういえば昨年の9月も同じパターンで、新潟から秋田、結局は青森観光になっちゃったっけ。(「新潟の沢改め秋田の沢改め・・・青森ダメダメ旅行」参照)
今回はリベンジなるか!
 
今回のメンバーは高橋隊長、けんちゃん(菊地副隊長)、まにちゃん(馬庭隊員)、私の渓美隊初期メンバーに、渓流雑誌でお馴染みの城野さんの5人。楽しい旅になりました。

前夜10時半、東川口駅に全員集合。ナビが示す目的地到着予定時刻は8時間後。遠すぎる…。
車止めに到着したのは朝6時を少しまわった頃だっただろうか。準備を始めしばらくすると、城野さんが額にグレーのヘアーバンドを装着。これがタレントの「りゅうちぇる」ソックリ!「じょうちぇるじゃーん!!(爆笑)」さらにズボンは純白の野球ズボン。「これ速乾だし、お尻が二重になってるから丈夫なんだよ。オススメ!」とのこと。これから源流に行くには爽やかすぎるじょうちぇるネタで盛り上がった。

この時期の東北と言えば、楽しみの一つがキノコ。今回は登山道と支沢を利用し、山越えルートでの入渓。歩きはじめからキョロキョロ探すが収穫ゼロのまま沢の下降に入ってしまった。
 ナメの多い真っ赤な底石に、やや白濁した温泉のような水。イワナが生きるにはかなり過酷そうな状況。それでも釣りキチ城野さんは枝沢が入るたびに魚の存在とキノコが気になる様子。そして、枝沢に入って今回の釣行第1匹目を釣り上げた。
 本流に入ってすぐにテン場が見つかった。そこからはプロフェッショナル、マニワ土木の登場。寝るスペースはもちろん、宴会場まで手際良く整地。デカイ石だって丸太があればテコの原理でチョチョイのチョイ。最高のテン場が完成。「早く釣りにこーい!」と言わんばかりに、テン場前でイワナがライズしまくる。

 初日の釣りは下流の沢にけんちゃん、まにちゃん、城野さん。本流に高橋隊長と私。
 テンカラ釣りを始めて随分経つが、なかなか上達しない私。最近では新人のヂュンに冷や汗をかかされることも…それでも隊長にアドバイスをもらいながら数匹のイワナを釣り上げウキウキ。ライズして食ってくれた時は思わず「ホホーッ!」と声を出してしまった。
 2人でおかず分のイワナをキープしテン場に戻ると、まもなく沢に入った3人もニコニコで帰ってくる。「ここは良いところだね〜。」かなり楽しめた様子だ。
 「さあ、ここからが渓美隊の見せ場。」「遡行力より宴会力!」なんて言いながらそれぞれが下ごしらえを始め、お刺身他数品の用意ができたところで「カンパーイ!」あとはご覧の通りです。


出発!


30分程で登山道分岐点


ここからヤブに突入


癒し系の沢をどんどん下る


本流に到着  少し上流にテン場を設営した


城野、菊地、馬庭は支流へ


うぇ~い♪


まにちゃんも・・・


うぇ~い♪


じょうちぇるも・・・


おお~  ダブルヒット!


本流組も


絶好調~!


テン場に戻ってカンパイ!


ポルチーニのフジッリ


肉!


生ハムを使った贅沢ポテサラ


朴葉味噌

正しい釣り人の朝は早い。しかし、こんなに朝食をたらふく食べている釣り人はいないだろう。朝から絶品カレースープまで。
 お昼にお弁当を持って行くスタイルは、かつて城野さんに教えてもらってから渓美隊で完全に定着している。全員ほぼ同じおかずなのに詰め方には個性が出る。

 2日目の釣りは本流に高橋隊長、まにちゃん、城野さん。途中で合流する沢にけんちゃんと私。二股に向かう途中、後ろからカゴを背負ったマイタケ採りのおじさん登場。笑顔で言葉を交わすが、カゴの中身は決して見せてくれなかった(その理由がのちに判明…?)。
 ブナやミズナラの原生林と癒しの流れがどこまでも続く支流を、けんちゃんと交代しながら釣り上がる。型は小さいがよく釣れる。リリースを繰り返しながら源流の釣りを満喫することができた。

 テン場に戻って聞くと、本流は沢登りのパーティが次々とやってきて、賑やかだったとのこと。さすが人気の川。紅葉の時期はさぞ美しいのだろう。
「ところで佐藤くん、デポしといたイワナ知らない?」と突然まにちゃん。
「は?」「ないんだよ、網ごと。」「絶対流されないように石で完璧に固定してあったはずだよ!」「う~ん、やられたか…」

 宴会を前に雨が降り出したので、久しぶりに焚き火タープを張ることにする。しかし、雨は降ったりやんだりの繰り返し。張り方を考えていると、けんちゃんが「あそこでダラララ〜ってやって、で、またダラララ〜ってやれば?」…意味不明なのでとりあえず無視。
 設営を進めながら、「そうだ、片側は固定、もう片側を動かせるようにして開閉式の屋根にしようぜ!」と私が言うと「そう、それが言いたかったんだよ~!」とけんちゃん。開閉式焚き火タープを"ダララシステム"と命名。一時期土砂降りになるがお構いなし。快適な宴会がいつまでも続いたのでした。


何やらヤラセ臭い写真だけど  水中は・・・


こんなんでした!


滝を釣るまにちゃん


今日もまずまず








滝の上でマニポーズ


2日目乾杯!


これが「ダララシステム」だ! (前の乾杯写真は閉じているところです)


焚火師じょうちぇる


今日も豪華つまみが次々と・・・






もんじゃ焼き


イワキュー巻き


ヒゲを触り合う不気味なモーホーコンビ

快適に沢を詰め、ほとんど藪漕ぎなしで登山道へ。めっちゃくちゃ広く、美しい湿原を抜け、ドロドロ、ヌタヌタ、ツルッツルの道を急降下。登山道の分岐を見過ごして道を間違えてしまったが、ほぼ時間的ロスのないルートを発見。
前から2番目を歩いていた私がストックを突いたすぐ脇の地面の穴から、何かがモクモク動き始めた。「あ~、地バチの巣だな。」と認識。なぜか冷静に「地バチの巣ありま〜す。」と後続へ伝える。直後、4番目を歩いていたけんちゃんから悲痛な叫び「痛っ!痛い、痛い!」
咄嗟に城野さんと私は全速力で走り下る。最後尾にいた高橋隊長はけんちゃんを瞬時に飛び越え、「まにちゃん遅い!早く走れ~!」と絶叫。そして最後尾となったけんちゃんに再び追撃ち。「痛てて!まだ追ってきます!」全員必死に走りまくってなんとか逃げ切り、けんちゃんの患部をポイズンリムーバーとムヒαで処置。
「なんか、足が軽くなった気がするよ。どこまででも走れそうな感じだったもん。」と城野さん。御年五十ウン歳…若い。

今朝のんびり出発したのが祟り、車止め到着が日没後になる可能性大。しかし、けんちゃんのペースが上がらない。「大丈夫か?」と隊長が声をかける。「なんだか呼吸がしづらくって」「無理するなよ、水分多めにとって。」ハチに刺されたダメージか、それともバテてるだけなのか?

小休止を入れ、歩き始めてすぐのことだった。先頭の城野さんが一本の木の根元を見ながら「あれ?」と言いながら歩み寄る。と同時に「うおーっっ!マイタケだー!」
見たこともない巨大なマイタケに、全員大興奮。写真を撮りまくり、その後慎重に木からの分離作業に移る。しかし、そう簡単にははがれない。包丁を軽く入れ、両手で引っ張ると一気に大きな塊が「ゴボッ」っという音と共にはがれた。「うわー、重い」「シート広げよう」バケツリレーならぬマイタケリレーを全員が満面の笑みで行った。
皆、スーパーのでかいビニール袋を両手に暗くなった山道を軽やかに歩く。私が袋の持ち方を変えたりしていると、前を歩くけんちゃんに置いて行かれそうになる。あれ?そういえばさっきまで呼吸がどうのって言っていたのに。マイタケ採るとき素早く包丁を出したのも、シート広げたのもけんちゃんだ!治って良かった。
最高のお土産を持って自宅へ帰り着いたのは、日の出まであと数分という時刻になっていた。


今日は下山  お弁当大集合!


支流を詰める


珍種「エリマニトカゲ」


湿原歩きは気持ちよいね~


車まであと30分地点で  巨大マイタケ発見!!


マイタケリレー


記念撮影(ピンぼけですが)


最高の土産になりました

今回の釣行で、このHPを見て下さっているという方数名に声をかけていただいた。
本当にうれしいことです。釣りや遡行の参考には全くならないとは思いますが()、これからも遊びに来てください!