報告 高橋信博


遙か昔?の20代の頃。そう、私がまだ日帰り激戦区専門だった頃、釣り雑誌などを見ては憧れた源流・・・胎内川もそのひとつだった。
30代に入ってから本格的に源流に向かうようになり、飯豊・朝日の沢には何度も通ったのが、未だ胎内川には足を踏み入れたことがなかった。
奥胎内ダムの工事が完成する前にぜひ一度は行ってみたいと、3年程前から計画はしていたのだが、やれ台風が来ただの、週末は雨だのと毎年転戦を余儀なくされ、胎内は自分にとって遠い渓になっていた。

今年の冬は雪が少なかったので、この時期でも奥まで行けるかな?と隊員に声を掛けたところ、7名の参加希望があった。総勢8名の大所帯。人数的なリスクを考え、廃道になった登山道を利用して池平峰から団子河原に下りるルートも頭をよぎったが、できればアゲマイノカッチから楢ノ木沢に下りて本流のゴルジュ帯を遡行し、有名な浦島の廊下を見ておきたい。当日の朝、徒渉点の水量を見て判断しようということになった。

入渓前夜。急な仕事で来られなくなったゲンちゃんを除く7名が、胎内ヒュッテ手前の駐車場に集合した。
徒渉は楽勝だったので、迷わずアゲマイノカッチへの尾根に取り付く。1時間弱でピークに到着。楢ノ木沢へ降りるルートが見付けられず、降りられそうなところから下降を開始。急なルンゼを下ったり尾根をトラバースしたりしながら、なんとか楢ノ木沢にたどり着いた。
8年前に遡行しているけんちゃんと佐藤の記憶を頼りに、本流出合から作四郎沢まで続く踏み跡を探すが、藪に覆われてすぐに見失う。本流方向に藪をかき分けて進み、なんとか踏み跡を発見。そこからは気の抜けない危うい道を行く。暑さと山歩きにウンザリしてきた頃、ようやく作四郎沢出合の本流に降り立った。すでに時間は12時半。出発して6時間以上が経っていた。胎内川本流の流れは強く太く、水温も低い。少雪だったとは言え、まだまだ源流部には残雪が残っているのだろう。

「けんちゃん、水量多くね?」 「多いですね〜。前回は渇水だったんで、ここから団子河原までは楽勝だったんすけどね〜(汗)」

「ま〜行くしかねえな!」と気合いを入れ直したが、最初のゴルジュでいきなり行き詰まる。流れは強く深く、とても突破できそうにない。左岸から巻くと踏み跡が薬研沢出合まで続いていて、そこが「浦島の廊下」の入り口だった。浦島は深さこそ太もも位だったが、水流は強い。ここまで重荷を背負ってきた体には結構きつかった。
浦島を過ぎてもゴルジュは続く。むしろここからが核心だった。小僧が空身で泳いでゴルジュを突破し、ひとりずつロープで引っぱり上げたり、激流に横たわった流木をケツでズリズリ渡ったり()。何しろ7人もいるから、ひとつのアトラクションにどうしても時間が掛かってしまう。
ようやくゴルジュ帯を抜け出したものの、団子河原はまだまだ先だ。


早朝 2泊3日の沢旅が始まる


本流を渡渉して アゲマイノカッチへの尾根に取り付く


急登だが踏み跡はしっかりしている


667mピークで記念撮影


楢ノ木沢へ下降開始


楢ノ木沢に到着  沢支度をして気合いを入れる


本流に向かってゴルジュを下る


暑いから泳いだのよ〜@


暑いから泳いだのよ〜A


左が胎内川本流  右が作四朗沢


ニセ浦島を踏み跡で巻くと薬研沢出合  ここが浦島の廊下の入口


浦島の廊下を行く


小僧がヘツリと泳ぎで見事に突破!


後続はロープで楽々♪


でも引っ張る方は疲れます(汗)


まだまだゴルジュは続く




流木の橋を渡る




ようやく河原状になった  かなり疲れてます

池平峰への取り付きである滝沢出合を過ぎ、テン場にたどり着いたのは夕方5時過ぎ。車止めから12時間近くかかってしまった。テン場にはブルーシートが張りっぱなしにされていた。サンダルまで置いてあり、焚き火跡には燃え残りのゴミが散乱していた。
こういうのはなぜなくならないのだろう。
釣り人のことをなぜ「釣り師」と呼ぶのか。それは「師弟関係」からきているそうだ。
テンカラでいえば職漁師の時代から、武道の技や型のように「師」から「弟子」へ、「先輩」から「後輩」へと教え伝えられたものなのだ。私も自己流の釣りから師と呼べる方々に出会い、釣技以外にも多くの影響を受けて来た。このようなデポ行為をする人達は、おそらく「師」が悪かったのだろう。そして彼らの「弟子」達が、後ろめたさや罪の意識など微塵も感じることなく、また同じことを繰り返すのだろう。

テン場を片付け、タープを張り終えた後、「釣りしたい人、行ってきていいよ。」と言ってみたが、疲れていて誰も行こうとしない。
釣欲・性欲・物欲の三拍子男、ヂュンでさえ、「いや〜、今日はもういいっすかねぇ・・・。」
ということで、早速着替えて宴会準備にかかる。

「カンパ〜イ!」 ( ^_^)/□☆□\(^_^ )

宴会が始まると、各自ザックから酒やつまみが出てくるわ出てくるわ!
けんちゃんとケンジは3リッターワイン持参。あのね、キミタチもうじき50歳になるんだから、いい加減にしときなさいよ〜と言いながらも、皆で美味しくいただきました。
遡行の疲れも何のその。酒が入ってしまえばいつも通りのハイテンション♪
総勢7名の大宴会は夜遅くまで続くのであった。


テン場に張りっぱなしだったブルーシート  悲しいね〜



宴会はやっぱ河原がよいね


長い1日だった  「お疲れさ〜ん!」


豪華つまみの数々






皮膚に潜り込んだ山ダニを 優しく取ってあげてるところ(失敗したけどね〜
(^_^;))


おバカ軍団絶好調〜!

翌朝は全員で釣り上がる。テン場前でいきなり佐藤が釣り上げテンションが上がるも、それっきり沈黙・・・ほとんど釣果のないまま、東俣沢と西俣沢の分岐に着いてしまった。
二手に分かれて西俣沢を釣るが、相変わらず釣れない。イワナも走らない。
かなり釣り遡ったところで、ようやく佐藤に尺物がきた。続いて私にも尺物が。
そこで魚止めの近い東俣チームが追い付いてきた。東俣沢も小僧が1匹バラしてそれっきりだったようだ。そこからはボチボチと竿がしなるようになった。

爆釣にはほど遠いが、掛かればデカい!やっと盛り上がってきたぞ〜!
ん?あそこになんだか浮かない顔をした男がひとり…
そう、「人とイワナに優しい釣り人」、OMTパイセンだ(笑)
険谷胎内の奥地に踏み入り、なおも純潔を守り続ける男!彼こそまさに、「源流界の逆アーネスト・ホースト」の名に相応しい。
「アイム スリー タイムズ チャンピオン!」 ←(ボウズの)
計り知れないプレッシャーに耐えながら、30投ほどムダ打ちした淵の、落ち込みのすぐ上に毛鉤を打ち込むと、ついに大物が食らい付いた!テンパるOMTパイセン!
下流の流れに入られたらマズイ!私もついつい応援に力が入る!
「下流に走らせるな!空気吸わせろ!あ〜にやってんだ!イトゆるめるな〜っ!!」
(え?罵声に聞こえるって?またまた〜(^_^;))。
取り押さえた尺上イワナを高々と持ち上げ、ドヤ顔パイセンの雄叫びが胎内に鳴り響いた。


佐藤作「まにちゃん弁当」  泥棒ヒゲがポイント


いきなりテン場前でヒット!  だがあとが続かず・・・


滝行で必釣祈願!


ようやく型が出始めた








なんかイラッとする・・・


大物賞  尺一寸!


OMTパイセンのドヤ顔


淵で遊ぶ小僧


さあテン場に戻って宴会だ!

テン場に戻って宴会開始。
イワナの刺身にアクアパッツァ、カツ、イワキュー巻き、ホルモン、そして貝好さん差し入れの自家製チャーシュー。ワインもまだ3リッターある。
今日も歌で盛り上がる。けんちゃんの流木ギターが冴える。タンバリンが鳴り響く。
けんちゃんが踏ん付けた佐藤のビリーカンが、兵式飯盒みたいにひん曲がる(笑)
胎内祭りはクライマックスだ!!


今回は中サイズのタープ2枚を連結した


今日は早めに宴会開始


頭じゃなくて顔に似合わずオシャレ系  ケンジ作「イワナのアクアパッツァ」



ヂュンの地元  深谷の絶品ホルモン


イワナカツ


貝好さんの差し入れ  お手製チャーシュー3種(ヒレ・モモ・トリ)


「ゲッタマン体操」で疲れた体をほぐす


けんちゃんの流木ギターついに登場!  宴会は最高潮だ〜♪


今回の秘密兵器  タンバリ〜ン♪


わ!丸いビリーカンが兵式飯盒みたいになっちゃったよ(゚Д゚;)


「え?ちょっと聞こえにくいですけどぉ!」  某元県議風にごまかす犯人(←激似)


イワキュー2個喰い


オチたらイヂられる  これが渓美隊流


赤ちゃんプレイ?  それともアッチ系ですか?

翌朝はほぼ全員が二日酔い。水量も多いので、滝沢出合から池平峰経由で下山することにした。稜線に出てからの歩きが辛かった。暑さに喘ぎながら、グダグダになりながらゴールを目指す。長〜い歩きの末、ようやく胎内ヒュッテが見えてきた。通行止めになっている吊り橋の下を徒渉して、河原にザックを置いてへたり込んだ。


いよいよ下山  滝沢出合から池平峰へ




池平峰  登山道はすでに廃道になっている


ダム工事の様子


吊り橋は通行禁止になっていたので 橋の下流を渡渉した


渓美隊の胎内祭り  終了〜!



<おまけ>

夏休み特別企画「秘技・オネエテンカラの真髄に迫る!!」
(撮影:パパラッチNOBU

プリケツ!


手は腰!


小指は立てる!


舞うが如く、打つべし!打つべし!打つべし!


さあ、君もマスターしよう!